複調ってなあに? —- その5 —
ハンガリーの作曲家バルトークは、民謡を引用した作品を多数書いています。このことは、当時の国の状況から愛国的だと考えられますが、さらに作曲技法においてもナショナリズムとの関連が伺える曲があります。今回はそのような作品の中で、複調が使われた曲を取り上げたいと思います。

民謡が引用された《ハンガリー農民歌による即興曲》は、長調や短調 ー これらは、いわゆる西洋音楽において発展してきたのですが ー ではない調で書かれています*。この時期ハンガリーはオーストリア・ハンガリー帝国からの独立を目指しており、作曲家は『音楽においても西洋音楽から独立しよう』と考えたのかも知れません**。
ハンガリー農民歌による即興曲 https://youtube.com/shorts/x-DapTyFJ-Y?feature=share
この曲には、当時新しく使われ始めた音階***、さらに複調の要素もみられます。彼はこの作品で、ナショナリズムを示しつつ、自身の新しい音楽表現をも追求することができたと考えられます。

出来たという事ですね、、、
ではまた、お会いしましょう。エリとティコでした。
*『民謡の研究を通して、長調、短調の圧倒的な役割から解放された』と、後年バルトークは書いている。民謡旋律は、旋法を用いられたものが目立つ。
**二重君主国(オーストリア・ハンガリー帝国)が崩壊後、1918年にハンガリー民主共和国が成立するが、1920年にはハンガリー王国となっている。ただし彼自身は政治的な活動に対して消極的であったと言われている。
***前半のメロディの伴奏には、全音音階が使われています。
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